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デジタルマーケティング

テレビCMとネット動画広告、結局なにが違うの?

夜9時のリビングで、広告は何をしているか。

テレビCMは「みんなに一度に届ける」広告で、ネットの動画広告は「届けたい人に、届けたいタイミングで届ける」広告。いちばん大きな違いはここにあります。そして、どちらか一方を選ぶより、両方を“着回す”ほうがたいてい効きます。

先日、晩ごはんのあとにリビングでぼんやりテレビを眺めていたんですよ。といっても地上波じゃない。リモコンの真ん中あたりにいつの間にか居座っているボタン、そう、あれを押してネットフリックスのドラマを観ていた。で、ちょうどいいところで広告が流れる。「あ、ネトフリにも広告って出るんだ」と思った人、けっこう多いんじゃないですか? 僕は仕事柄、毎日のように広告の数字を眺めているのに、それでも一瞬「おっ」と思った。

考えてみると、テレビという“箱”はそのままなのに、中身はずいぶん変わった。地上波の番組はTVerで追いかけ、子どもはYouTube、休日はプライムビデオで映画、格闘技やサッカーの生中継はABEMA。同じ一台のテレビに、いくつもの「テレビ局」が同居している。そして、そのどれにも広告が流れるようになったわけです。

じゃあ、それってテレビCMと何が違うの? どれに出せばいいの? 全部やらなきゃダメなの? 打ち合わせで本当によく聞かれるこの3つの質問に、なるべく肩の力を抜いて答えてみようと思います。長くなるかもしれないけど、付き合ってもらえたらうれしいです。

テレビCMと動画広告、何が違うのか。答えは「届け方」です。

まず数字の話をひとつだけ。電通の「2025年 日本の広告費」によると、インターネット広告費は4兆459億円で、総広告費に占める割合が50.2%と初めて半分を超えました。なかでも動画広告は前年比121.8%の1兆275億円で、初の1兆円超え。けん引役としてSNSの縦型動画と、ネットにつながったテレビ、いわゆるコネクテッドTV(CTV)が名指しされています。一方でテレビメディア広告費は1兆7,556億円とほぼ前年並み。テレビが沈んだわけじゃない。隣に新しい棚が増えた、という感じなんですよ。

で、本題の違い。僕はいつも、テレビCMをラジオ体操の号令、ネットの動画広告を一人ひとりへの手紙にたとえています。

  • テレビCM:決まった時間に、そこにいる全員へ一斉に届く。誰が見たかは細かくわからないけれど、「みんなが知っている」状態を一気につくれる。信頼感や“ちゃんとした会社感”が出るのも強み。
  • ネットの動画広告:年齢、地域、興味、視聴中の番組などで相手を選べる。何回届いたか、そのあと検索やサイト訪問が増えたかまで追いかけられる。小さな予算から始められて、途中で直せる(くわしくは動画広告のメリット・デメリットで)。
  • CTV広告(テレビ画面で流れるネット広告):その中間。大画面・音ありでテレビCMっぽく見てもらいながら、ネット広告のように相手を選べて結果も測れる。いいとこ取り、と業界ではよく言われます。

つまり「どっちが上か」じゃなくて、役割が違う。号令が要る場面もあるし、手紙が効く場面もある。そこを取り違えると、どんなにいい映像をつくっても空振りしちゃうんですよね。

あわせて読みたい:「テレビCMはもう古い」は本当?テレビCMの“変わらぬ強さ”と“使い方の進化”/YouTubeやTVerなどで動画広告を出すには?種類やメリット、媒体別の特徴

5つの動画広告、それぞれの“得意”と“お客さん”。

クローゼットにたとえるなら、5着とも別の服です。似合う場面も、合わせる相手も違う。ひとつずつ見ていきましょう。

Netflix広告:じっくり観る人の、いちばん集中している時間に。

Netflixの広告は、月額890円の「広告つきスタンダード」を選んだ人に流れます。ここで大事なのは、観ている人が自分で選んだ作品を、腰を据えて観ているということ。ながら見が少ないから、広告もちゃんと目に入る。広告事業2周年の発表時点で、Netflixの広告つきプランの月間アクティブユーザーは世界で7,000万人に達し、広告プランを提供する国では新規登録の半数以上が広告つきを選んでいるそうです。ドラマ、映画、アニメ、韓国ドラマに強く、テレビ画面で観る人の比率が高いサービスでもあります。

向いているのは:ブランドの世界観をきれいに見せたいとき。化粧品、自動車、住宅、旅行、少し背伸びした価格帯の商品。地上波をあまり見なくなった20〜40代に、テレビ品質の映像で会いに行けるのが魅力です。

出稿の流れや費用感はNetflix広告代理店をお探しの方へ【全国対応・CM制作対応】にまとめています。

Prime Video広告:「観る」と「買う」がいちばん近い場所。

Amazonは2025年4月8日から、日本のPrime Videoで広告配信を始めました。Amazonに出品していない企業でも出稿でき、広告の量はテレビ放送や他の配信より少なめにする方針を掲げています(Amazon Ads「Prime Video広告を始める方法」)。

向いているのは:日用品、食品、家電、通販商品など、観たあと「ポチッ」とつながる商材。プライム会員という、ふだんから買い物をしている人たちに届くのは、正直かなり強い。Amazonは認知から購入まで一続きで測れることを売りにしていて(Amazon Ads)、ここが他の4つにない個性です。

詳しくはAmazon Prime広告代理店をお探しの方へ【全国対応・CM制作対応】へ。ECの売り場づくりから相談したい方はEコマースのコラムもどうぞ。

YouTube広告:いちばん身近で、いちばん自由。

もはや説明不要の巨人ですが、意外と知られていないのがテレビ画面で観る人の多さ。YouTubeをテレビで観ている日本のユーザーの半分以上が、家族や友人と一緒に観ているという調査があります。リビングでの“共視聴”。これ、テレビCMの得意技だったはずなんですよ。

向いているのは:ほぼ全業種。数万円から試せて、6秒の短い広告から30秒以上の長尺まで形も選べる。趣味や関心で相手を絞りやすいので、ニッチな商品や地域のお店、採用広告にも使いやすい。スマホでもテレビでも出せる、デニムみたいな一本です。

種類や費用の目安はYouTube広告とは?メリットや種類、費用を徹底解説!で。実際の活用例として外国人YouTuberとタイアップしたインバウンドプロモーションもあります。

TVer広告:テレビ番組の“見逃し”に、テレビCMの信頼感で。

民放の番組を無料で配信するTVerは、2026年1月の月間ユーザー数が4,470万MUB(月に1回以上観る人が4,470万人もいる)で過去最高。テレビ画面での月間再生は2.1億回、20〜34歳のユーザーは年度初めの150%に伸びています。2024年度の広告主は2,138社と、出稿企業も増えています。

向いているのは:テレビCMと同じ“空気感”で、リアルタイムでテレビを見なくなった若い層に届けたいとき。ドラマやバラエティの間に流れるので、地上波CMの素材をそのまま使える場合も多い。地域を絞った配信もできるので、北陸のような地方で「テレビCMは高いけど、テレビっぽい広告は打ちたい」という相談にも合います。

関連コラム:TVer広告代理店をお探しの方へ【全国対応・CM制作対応】/【お見積り無料】TVer広告にかかる費用を徹底解説!/TVer広告の魅力とは?種類やメリット

ABEMA広告:熱量の高い“推し”の時間に。

ABEMAはニュース、アニメ、恋愛リアリティ番組、格闘技やMLBなどのスポーツ中継が強いサービスです。2024年9月には週間視聴者数が3,000万を超え、2025年夏にはオリジナル番組の週間視聴者数が開局以来の最高を更新し、10代女性の視聴者数も過去最高を記録しました。

向いているのは:10〜20代向けの商品、ゲーム、アプリ、エンタメ、スポーツ関連。生中継の“いま一緒に盛り上がっている”空気に乗れるのが面白いところ。テレビ画面向けの配信メニューも用意されています。ファンが濃いぶん、番組と商品の相性がはまると一気に話題になります。

ひと目でわかる、テレビCMと動画広告5媒体の早見表。

媒体ひと言でいうと届きやすい人得意な目的主な視聴画面
テレビCMみんなへの号令幅広い世代、特に40代以上短期間で一気に知ってもらう、信頼感づくりテレビ
Netflix広告集中している人への名刺地上波離れの20〜40代、ドラマ・映画好きブランドの世界観を伝えるテレビ中心
Prime Video広告買い物の一歩手前プライム会員、買い物慣れした世帯認知から購入までつなぐテレビ・スマホ
YouTube広告何でも合わせやすい定番ほぼ全世代、関心ごとに細かく認知・検討・行動まで幅広く、小予算で試すスマホ・テレビ
TVer広告テレビCMの若返り版テレビ番組好きの20〜40代テレビCMの届かない層を補うスマホ・テレビ
ABEMA広告推しの熱量に乗る10〜20代、スポーツ・格闘技・アニメ好き若年層の話題化スマホ・テレビ

※各媒体の特徴は2026年10月時点の公開情報と、広告運用の現場での傾向をもとに整理しています。

一着で決めない。広告は“着回し”で効いてくる。

ファッション誌でよくある「一週間着回し」企画、あるじゃないですか。ジャケット一枚を月曜は会議に、金曜は飲みに、と使い回すやつ。広告もあれと同じなんですよ。主役の一着を決めて、それを引き立てる小物を足していく。全部を一張羅にする必要はないし、そもそもお財布がもたない。

なぜ併用が効くのか。理由はシンプルで、人は一回見ただけでは動かないから。テレビで見た、スマホでも見た、映画の合間にも見た。違う場所で何度か出会うと、「最近よく見るな」が「ちょっと調べてみるか」に変わる。しかも、テレビCMだけだと届かない人がいて、ネットだけだと“ちゃんとした会社感”が足りないことがある。お互いの穴を埋め合えるんです。

現場でよく組む“コーディネート”を4つ挙げておきます。

  1. テレビCM × TVer広告:いちばん失敗しにくい定番。地上波で幅広く届け、テレビを見なくなった若い層をTVerで拾う。同じ素材を使えることが多いので、制作費もかさみにくい。費用の目安はTVer広告の費用解説で。
  2. テレビCM(またはCTV広告) × YouTube広告:大画面で知ってもらい、スマホで何度か思い出してもらう。CMを見た人が検索したときに、YouTubeやサイトで“続き”を見せるイメージです。検索結果で見つけてもらう準備にはリスティング広告やSEO対策も効きます。
  3. Netflix広告 × Prime Video広告:世界観で惹きつけて、買える場所で背中を押す。少し高めの商品や、じっくり比べて選ばれる商品と相性がいい(Netflix広告/Prime Video広告)。
  4. 地方企業の小さな着回し:ローカル局CM × TVerの地域配信 × YouTube:県内に絞って、テレビの信頼感とネットの細かさを両取りする。石川県での媒体の組み方は石川県における広告メディアプランニング戦略ガイド【2026年版】に詳しく書いています。お店への来店まで追いかけたいならジオターゲティング広告との合わせ技も。「うちはそんな大きな会社じゃないから」と言う方にこそ、試してほしい組み合わせです。

コツは3つだけ。同じ人に出しすぎないこと(見飽きられると逆効果)、媒体ごとに尺や見せ方を少し変えること(テレビは30秒でもスマホは6〜15秒が気持ちいい。映像制作から相談できます)、そして最初に“何をもって成功とするか”を決めておくこと。認知なのか、検索数なのか、来店なのか、問い合わせなのか。考え方の土台は【マーケティング】売上の方程式を考えるが参考になります。ここが決まっていれば、組み合わせはあとからいくらでも直せます。

よくある質問

Q. テレビCMとネット動画広告の一番の違いは何ですか?

A. 届け方です。テレビCMは同じ時間に多くの人へ一斉に届け、短期間で認知と信頼感をつくるのが得意です。ネット動画広告は年齢・地域・興味などで相手を選び、届いた回数やその後の行動まで測れるのが得意です。

Q. コネクテッドTV(CTV)広告とは何ですか?

A. インターネットにつながったテレビの画面で流れる動画広告のことです。TVer、YouTube、Netflix、Prime Video、ABEMAなどをテレビで観ているときに表示されます。テレビCMのような大画面・音ありの見え方と、ネット広告のような配信先の選び方・効果測定を両立できます。

Q. 少ない予算でも動画広告は出せますか?

A. 出せます。YouTube広告は数万円規模から試せますし、TVer広告も広告会社経由で比較的小さな予算から相談できます。媒体ごとに最低出稿額や条件が異なるため、目的と予算を伝えて組み合わせを検討するのが近道です。

Q. どの媒体から始めればいいですか?

A. 目的によります。若い層に知ってもらいたいならTVerやABEMA、購入につなげたいならPrime Video、世界観を伝えたいならNetflix、まず小さく試して反応を見たいならYouTubeが入口になりやすいです。すでにテレビCMを出しているなら、TVerやYouTubeを足すのが最も手堅い組み合わせです。

Q. テレビCMと動画広告は同じ映像を使えますか?

A. 使える場合が多いです。ただし、スマホ中心の媒体では冒頭数秒で惹きつける短い尺のほうが見てもらいやすいため、テレビ用の素材をもとに短縮版や縦型版をつくると効果が上がりやすくなります(クリエイティブ)。

Q. 地方の企業でも効果はありますか?

A. あります。多くの動画広告は都道府県や市区町村単位で配信地域を絞れるため、商圏に合わせて無駄なく届けられます。ローカル局のテレビCMと組み合わせると、地域での信頼感と若い層への到達を両立しやすくなります(メディア・コンテンツ)。

広告は、服と同じで“合わせ方”なんですよ。

ここまで長々と書いてきたけど、言いたいことはひとつです。テレビCMが古いわけでも、ネット広告が万能なわけでもない。号令も手紙も、それぞれに出番がある。大事なのは、自分たちの商品をいちばん素敵に見せる“合わせ方”を見つけること。

それに、どの媒体が合うかなんて、正直やってみないとわからない部分もある。だから最初から完璧なコーディネートを目指さなくていいんです。一着目は定番から。反応を見て、小物を足したり引いたりすればいい。

もし「うちの場合はどれから?」「テレビCMはやってるけど、次の一手がわからない」「予算はこれくらいしかないんだけど」なんて思ったら、気軽に声をかけてください。まだ何も決まっていない段階の、雑談みたいな相談で大丈夫です。むしろそういう話から始まるほうが、だいたいうまくいくんですよね。

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