Googleアナリティクス(GA4)をGeminiで分析。BtoBサイトの商談を増やす完全ガイド
「Webサイトのアクセス数はそれなりにある。でも、肝心の問い合わせや商談につながらない……」
BtoB(企業間取引)ビジネスのWeb担当者や経営者の方から、このような相談を受けることが増えています。Googleアナリティクス(GA4)の管理画面を開いてみても、そこに並んでいるのは無機質な数字の羅列だけ。「具体的にサイトのどこを直せばいいのか」までは、誰も教えてくれません。
しかし、諦めるのはまだ早いです。今、私たちの手元にはGoogleの生成AI「Gemini(ジェミニ)」という強力な味方がいます。この記事では、データ分析のプロでなくても、AIの力を借りてWebサイトの弱点を見つけ出し、24時間働く「優秀な営業マン」へと変貌させるための具体的な手順を解説します。
【目次】
- Webサイトは「パンフレット」ではなく「営業マン」である
- 【準備編】AIに渡す「正しいデータ」を用意する
- 【作成編】AIに読ませる「探索レポート」を作る
- 【分析編】Geminiにデータを渡して分析させる
- 分析結果をどう読むか? データ分析は「宝探し」
1. Webサイトは「パンフレット」ではなく「営業マン」である
まず、マインドセットを変えるところから始めましょう。
多くのBtoB企業において、Webサイトは単なる会社案内や製品カタログ(パンフレット)として扱われがちです。しかし、本来Webサイトが果たすべき役割は、見込み客を連れてくる「営業活動」そのものです。
もしあなたの会社の営業マンが、お客様に挨拶だけして、商談もせずに帰ってきてしまったらどう思いますか? 「なぜ提案しなかったのか?」「どこで話が途切れたのか?」を確認して指導するはずです。
Webサイトも同じです。「見て終わり」ではなく、最終的な成果(問い合わせや資料請求)に繋げなければ意味がありません。そのための改善指導(分析)を行うのが、この記事の目的です。
2. 【準備編】AIに渡す「正しいデータ」を用意する
GeminiなどのAIは非常に優秀ですが、魔法使いではありません。誤ったデータを渡せば、誤った分析結果しか返ってきません。AIに賢い分析を依頼するためには、まず私たちが「正確なデータ」を用意する必要があります。
ここで最も重要なのが、「フォームに来た人」と「送信完了した人」を区別できるようにしておくことです。
2.1 Googleタグマネージャー(GTM)で「中間地点」と「ゴール」を定義する
より正確な分析を行うために、Googleタグマネージャー(GTM)を使って、以下の2つのポイントを明確に計測しましょう。
① 中間地点(フォーム到達)
ユーザーがお問い合わせフォームの入力欄を「画面に表示させた瞬間」を記録します。
ページを開いたときに入力フォームが目に入らない場合、ページを開いただけではカウントせず、スクロールしてフォームが目に入った人だけを数えるのがコツです。
② ゴール(フォーム完了)
ユーザーが送信ボタンを押し、無事に「送信完了ページ(サンクスページ)」が表示された瞬間を記録します。
この2つを区別することで初めて、「フォームまで来たのに、入力するのをやめて帰ってしまった人(カゴ落ち)」がどれくらいいるか、や「CVユーザーと非CVユーザー」が見ているページの違いなどを可視化することができます。ここが最大の改善ポイントになることが多いのです。
3. 【作成編】AIに読ませる「探索レポート」を作る
データの計測環境が整ったら、次はAIに読み込ませるための「専用データ」をGoogleアナリティクス(GA4)で作ります。標準レポートではなく、「探索」機能を使ってカスタマイズしたデータを作成しましょう。
Googleアナリティクス(GA4)では、「フォームに来た人」と「送信完了した人」のように、データをセグメント(分類)してクロス分析するには、「探索」機能を駆使する必要があります。
3.1 データの3つの切り口(セグメント)
これから作る全てのレポートにおいて、以下の3つのグループ(セグメント)を並列で比較できるように設定します。
- 全ユーザー: サイトに来た人全員
- フォーム到達: 問い合わせフォームを見た人
- フォーム完了: 実際に問い合わせをした人
この3者を比較することで、「問い合わせする人としない人の行動の違い」が浮き彫りになります。
3.2 Excelで保存するデータ(自由形式)(ファネルデータ探索)
以下の8つのデータをGoogleアナリティクス(GA4)の探索レポートで作成し、CSV形式でダウンロードしてください。これらはAIが数字の傾向を読み解くために使います。
- ① 月別の推移: 季節要因があるかを確認します。BtoBの場合、決算月や予算策定時期に動きがあるかもしれません。
- ② デバイス別: 「スマホで見ている人が多いのに、スマホでの問い合わせが極端に少ない」場合、スマホサイトの入力フォームが使いにくい可能性があります。
- ③ 流入経路別: 自然検索(SEO)なのか、Web広告なのか、SNSなのか。どこからの訪問者が一番「濃い」客なのかを見極めます。
- ④ 新規・リピート別: 初見で問い合わせるのか、何度も検討して問い合わせるのか、顧客の検討期間を知る手がかりになります。
- ⑤ ランディングページ別: 最初に見たページ(入り口)によって、その後の成約率が変わるかを見ます。
- ⑥ 閲覧ページ: サイト内の人気コンテンツを把握します。
- ⑦ 問い合わせた人が見たページ(超重要): 「問い合わせした人」だけが見ていて、「しなかった人」が見ていないページを探します。それが顧客の背中を押す「キラーコンテンツ」です。
- ⑧ 離脱ポイント(ファネルデータ探索): 「初回訪問」→「再訪問」→「フォーム到達」→「完了」の4ステップのどこで、客足が途絶えているかを特定します。
これら8つのCSVファイルを、1つのExcelファイルにシートを分けてまとめておきましょう。
3.3 PDFで保存するデータ(経路データ探索)
数字だけでなく、ユーザーの「動き」もAIに見せます。以下の2つはGA4の「経路データ探索」を使い、ビジュアル化されたグラフをPDF形式(画像)で保存してください。
- ⑨ 成功ルートの追跡: 問い合わせ完了した人が、サイトに来てからどんな順番でページを巡回したか。
- ⑩ 逆引きルート: 問い合わせ完了の直前に何を見ていたか。これが「最後の決め手」となったコンテンツです。
4. 【分析編】Geminiにデータを渡して分析させる
準備は整いました。いよいよGeminiという優秀な頭脳を使う時です。
4.1 【重要】セキュリティに関する注意点
実データを扱う際、無料版のGemini(個人用Googleアカウント)に会社の機密データをアップロードするのは避けてください。入力内容がAIの学習に使われてしまうリスクがあります。
業務で利用する場合は、「Gemini Enterprise」や「Gemini Business (Google Workspace)」など、データが学習に利用されないセキュリティが担保された環境を推奨します。
4.2 Geminiへの指示出し(プロンプト)
Excelファイル(数値データ)とPDFファイル(行動フロー図)をGeminiにアップロード(添付)し、以下のようなプロンプト(指示文)を入力します。AIに「役割」を与えることがポイントです。
プロンプト例:
あなたは株式会社日本エージェンシーの優秀なWeb営業担当です。
私たちの目的は、Webサイトからの「商談につながる問い合わせ」を増やすことです。
ターゲット顧客は、地域企業の経営者やWeb担当者です。
添付のExcelデータ(数値)とPDFデータ(行動フロー図)を分析し、以下の3点について教えてください。
1. 離脱の原因: お客さんが一番いなくなってしまっているタイミングはどこですか?特にスマホとPCの違いや、流入経路による違いに注目して、原因の仮説を立ててください。
2. 勝ちパターンの発見: 「問い合わせした人」がよく見ているページはどこですか?なぜそのページを見ると問い合わせしたくなるのか、理由を考察してください。
3. 具体的な改善案: 上記を踏まえ、来月の問い合わせ数を増やすために優先すべき施策を提案してください。
当社のデータのデータをGeminiに分析させた結果はこんな感じでした。
いっぱいダメ出しされました・・・!
社内や外注先と共有するために、上記を説明するのがダルいので、見やすくまとめた資料も別の生成AIツール(NotebookLM)を使って作成してみました。
とってもいい感じにできたのですが、本当の仕事はこれからです!
5. 分析結果をどう読むか? データ分析は「宝探し」
Geminiからの回答が出たら、それをチームで確認しましょう。この分析プロセスは、単なる数字合わせではありません。「お客様がどこで悩み、何を見て心を動かされたか」を知るための宝探しです。
例えば、Geminiが次のような気づきを与えてくれるかもしれません。
- 「スマホユーザーの多くが、フォーム入力画面までは来ているのに、確認画面に進まず離脱しています。入力項目が多すぎてスマホでは打ちにくい可能性があります」
- 「問い合わせに至ったユーザーの8割が、『導入事例:製造業A社様』のページを見ています。この事例ページへの導線をトップページに目立つように配置すべきです」
これらは、数字の海を眺めているだけでは気づけない、具体的な「アクション」につながるヒントです。
- Googleアナリティクス(GA4)とGoogleタグマネージャー(GTM)で「中間地点」を計測し
- Googleアナリティクス(GA4)探索レポートで専用データを用意し
- Geminiの知能を借りて改善策を見つける
このサイクルを回すことで、あなたのWebサイトは確実に「商談を生むツール」へと進化していきます。
まずは最初のステップ、「フォーム到達」と「フォーム送信完了」を正しく計測する設定から始めてみませんか? データが溜まれば溜まるほど、AIの分析精度は上がっていきます。今日から、Webサイトという「営業マン」の教育を始めましょう。
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